狂犬病は、日本国内での発症例は現在ありません。一方、海外ではペットに限らず、コウモリやアライグマなどの野生動物との接触で感染することもあります。人間も含めてほとんどの哺乳類に感染し、発症するとほぼ100%亡くなってしまうとても恐ろしい病気です。
狂犬病の主な症状
狂犬病の主な症状は、前駆期、狂躁期、麻痺期の大きく3段階に分けられます。
前駆期
前駆期には、発熱や食欲低下などの身体的症状がでます。そのほか、暗い場所に隠れたり、大人しい子が攻撃的になったり、反対に普段気の荒い子が急に穏やかになるというような変化が見られるようになります。
狂躁期
狂躁期には、過剰に興奮して吠え、周囲に噛みつきます。また、排泄物や小枝などをむやみに食べる異食も見られます。この頃になると、怖い顔つきになり、狂犬病という病名の通り、本当に狂った行動を取ります。この狂躁期は、2~4日ほど続きます。
麻痺期
麻痺期には、運動障害や嚥下障害、けいれんなどの症状が現れます。このような麻痺症状が出た場合、1~2日で命を落とすことになってしまいます。
狂犬病の原因
狂犬病は、狂犬病ウイルスが原因となり、感染・発症します。感染してしまった動物の唾液中には、沢山のウイルスが潜んでいます。そのため、その動物に噛まれてしまうと、傷口からウイルスが体内に入り込みます。体内に入ったウイルスは、脳や脊髄にも広がり、様々な神経障害を引き起こすのです。
狂犬病の予防法
残念ながら狂犬病の場合、一度発症してしまうと、効果的な治療法がありません。ただ、感染してから発症するまでには数日かかることが多いようです。ですから、感染した時点ですぐにワクチンを再接種すれば、狂犬病の発症を防ぐことができる場合もあります。
現在、日本では狂犬病の予防接種が義務化されていますが、海外では犬への接種が義務化されていない国も少なくありません。
ワクチン接種については、【狂犬病予防ワクチン】のページをご参照ください。
人間用の狂犬病ワクチン
狂犬病にかかった犬に、人間が噛まれてしまうケースもあります。人間が感染した場合の潜伏期間は約20~60日です。感染予防と発症予防の2種類のワクチンがあるため、万が一、感染しても潜伏期間内に発症予防のワクチンを接種することで、狂犬病の発症を阻止できます。また、狂犬病発生地域に渡航する際には、感染予防ワクチンを接種しましょう。