何となく元気がない、寝てばかりいる、毛艶が悪く急に老け込んだ……愛犬にそのような様子が見られたら、甲状腺機能低下症かもしれません。症状が老化現象と似ているため、飼い主が「歳のせい」と思い、病気の発見が遅れるケースが多いです。
主な症状
甲状腺機能低下症を発症すると、様々な症状が現れます。その子によっても、出る症状は異なると思いますが、主な症状には次のようなものがあります。
- 元気がなくなり、運動を嫌がる
- 疲れやすく、いつもだるそう
- 反応が鈍く、覇気のない顔つき
- 急に寒がる
- 脱毛
- 脱毛した部分に色素沈着が起こる
- いつも通りの食欲でも太りやすくなる
この他、皮膚病が治りにくくなったり、糖尿病などを併発しやすくなる、不整脈や徐脈の症状が出たりすることもあります。
原因
甲状腺機能低下症は、甲状腺の機能が低下し甲状腺ホルモンが充分に分泌されなくなる病気です。これは自己免疫疾患と言われていて、多くの場合、甲状腺を有害なものとして攻撃してしまう自己抗体が作られてしまいます。甲状腺から分泌されるホルモンのうちの一つにサイロキシンというホルモンがあり、そのもとになるのがサイグロブリンという糖たんぱくです。このサイグロブリンを有害なものとみなす抗サイグロブリン抗体を生まれながらに持っている犬が、甲状腺機能低下症になりやすいのです。このことから、遺伝性の病気とも考えられています。
なりやすい犬種
特に、ゴールデン・レトリバーやラブラドール・レトリバー・シベリアン・ハスキーなどの大型犬、シェットランド・シープドッグやビーグルなどの中型犬に多く見られます。
3~6歳頃から少しずつ進行していきますが、一般的に女の子のほうが発症しやすいとされています。
治療と予防
甲状腺機能低下症は、残念ながら完治が難しい病気です。主な治療法としては、ホルモン剤の投与が行われます。この投薬治療は一生続けていかなければなりませんが、ホルモンの量をきちんとコントロールできれば、安定した状態を保ちながら生活していくことは可能です。
予防をすることはできない甲状腺機能低下症ですが、発症しても早期に発見し、治療を始めることができると、犬の辛い症状も早い段階で改善してあげることができます。治療を受けずに放置していれば、症状は悪化する一方ですから、甲状腺機能低下症が疑われたら、早めに病院に連れていくことをお勧めします。