椎間板ヘルニアは人間もよく発症する病気ですが、犬も例外ではありません。骨と骨との間にあり、重要なクッションの役目を果たしているのが椎間板です。日常の様々な動きを支えている椎間板が損傷すると、椎間板ヘルニアが起こります。
椎間板ヘルニアの主な症状
体重を支えている腰の部分の負担が大きくなることで、椎間板ヘルニアの症状が見られることがあります。椎間板ヘルニアが発症した部位と病状の進行度によって、様々な症状が現れます。主な症状としては、次のようなものが挙げられます。
- 疼痛(鋭い痛み)
- 歩き方がおかしい
- 足を引きずる
- 立ち上がるのに時間を要する
- 足の痛み
- 腰から背中にかけての痛み
- 元気がない・疲れやすい
椎間板ヘルニアの症状が進行して重症化した場合には、半身不随になってしまったり、排便・排尿障害が起きることもあります。
椎間板ヘルニアの原因
犬の椎間板の仕組みも、人間同様です。頭や体の重みを支えている腰椎ですが、そこで骨と骨との間でクッションの役割をしているのが、椎間板になります。その椎間板への負担が大きくなることで、椎間板が損傷し麻痺や痛みなどの症状が現れるのです。椎間板が壊れる原因としては、激しい運動や加齢による骨の老化が考えられます。
なりやすい犬種
どのような犬種でも、加齢に伴い椎間板ヘルニアを発症する確率は高まります。中でも、ミニチュア・ダックスフントやペキニーズ、シーズー、プードル、パグ、ビーグルなどの犬種は2~7歳頃に頻発すると言われています。これらの犬は、軟骨異栄養症性犬種と呼ばれていて、その呼び名通りに軟骨異栄養症という先天性疾患を持って産まれることが多いです。病気の影響から骨が弱く、椎間板にも負担をかけてしまうのです。
椎間板ヘルニアの治療と予防
椎間板ヘルニアでは、重症度によって行われる治療が異なります。軽症の場合は痛みを抑えるための投薬治療が行われ、数日間運動を控えて安静にします。一方、重症の場合は手術を受けることになるでしょう。手術後は、犬の状態に合わせたリハビリを行います。
特に椎間板ヘルニアになりやすい犬種には、出来るだけ激しい運動は控えさせることをお勧めします。また、フローリングではなくカーペット、階段の昇り降りをさせない、肥満を防ぐなど、日常生活の中でも腰に負担をかけない工夫をすることが大切です。
愛犬の椎間板ヘルニア体験~HN:犬屋敷の家主
椎間板ヘルニアになった愛犬の話をしたいと思います。
犬にも椎間板ヘルニアという病気があるのは知っていましたが、ダックスフンドなどの胴が長い犬種に好発すると、勝手に思い込んでいました。
それは夫が愛犬の頭を撫でた時、「ギャンッ!!!!」と鳴いたことから始まりました。
まさか椎間板ヘルニア?
頭を撫でたときに痛がるような悲鳴にも似た鳴き声を発した愛犬。
どうした~?と言って抱き上げたときに「キャンッ!」
抱っこを嫌がって自分で私の腕から逃れるときにも「キャンッ!」
あれ?これはなんだかおかしいぞ?と思いました。
その後も、ソファーから飛び降りるときに「キャンッ!」
明らかにどこかに痛みを感じているのだろうと思いました。
椎間板ヘルニアと思わなかったわけ
愛犬は胴が長い犬種ではなく、椎間板ヘルニアという病名は頭に浮かびませんでした。
体を後ろ足で掻いている時に、爪が毛に引っかかった後だったので、もしかして爪か足を傷めてしまったのだと思っていました。
キャンッ!と鳴いた後は首を下にさげ、歩く姿もそろ~りそろ~りとゆっくりでしたので、足をどうにかしたと思っていたのです。
少し時間がたつといつも通りに元気に走り回っているのですが、痛がった後はなんだか様子がおかしいのです。
夫は様子を見てもいいのではないかと言いましたが、他にも持病を持っている子でもあり、薬を取りに行く日でもあったので、一緒に診察をしてもらうことにしました。
椎間板ヘルニアと診断
かかりつけの動物病院で、念入りに爪や足の動きを診たあと、「足ではない」とのこと。
その後、腰の触診をし、首を上に上げてみましたが痛がる素振りはなし。
歩かせてみて、その状態で頭を上から軽く押してみます。

上を向くのは大丈夫ですが、下を向きたがらずに若干抵抗しますね~。下を向くと痛みが走るからですよ。

下を向くことで痛みがでるんですか、足が原因かと思ってしまいました。

ごくごく初期の椎間板ヘルニアだと思いますよ。

ヘルニアなんですか、、気がつくことができませんでした。
痛がった後に動きがおかしくなるのは、瞬間的に激痛が走っているからだとのこと。
ステロイドを服用し、安静にして1週間後にまた再診することになりました。
正確に椎間板ヘルニアかどうか判断するには、MRIを撮らなければいけないとのことでしたが、症状からして恐らく椎間板ヘルニアだろうとのことでした。
初期の椎間板ヘルニア対策
本来、症状が進んだらサークルに入れて自由に動かないように過ごさなければいけないのですが、愛犬の場合はソファーや階段の上り下りをさせない、玄関の段差を行き来させないなどに気をつければOKとのこと。
症状が落ち着くまで散歩禁止。とにかく安静です。
抱っこの仕方もレクチャーされました。
とは言え、日ごろは日中フリーにしてお留守番です。
暑い時期でしたのでリビングのドアは開けっ放しにして自由に行き来できるようにしています。
階段はゲートをつけているので大丈夫ですが、リビングから廊下に出て、玄関に降りることは可能です。
すぐにリビングの入り口にゲートを設置しました。
問題はソファーです。玄関の段差よりも高いです。
ソファーを撤去するのはできなかったので、なるべく段差が少ないよう、飛び上がったり飛び降りたりしないように、留守の間はソファーの足元にクッションを置いて、階段のようにしました。
1週間後の診察で
留守の間の段差対策、一緒にいる間は徹底的に安静、きっちりとステロイドを服用させることで、診察から1週間、一度も痛がることはありませんでした。
薬の作用で、持病の1つ、アレルギーで体を痒がることもなくなったという嬉しい効果まで。
1週間後の診察では、触診すると、まだちょっと腰の調子が完全ではないとのこと。
更に1週間、ステロイドを服用し、とりあえずの治療を終了にするとのことでした。
毎朝ステロイドを服用し、軽いお散歩は解禁になりましたが、元々持病のために長時間の散歩や激しい運動を禁止されていたので、そこは問題ありませんでした。
症状がなくなったからといって通常の生活に戻すのではなく、やはり段差対策は今後も続けなければいけないということ。
この愛犬の子供も我が家には5匹いるのですが、子供達も、もしかして将来的に椎間板ヘルニアになる可能性があるので注意が必要なことをいわれました。
幸い、あれから痛みの再発はありません。
愛犬に何か気になる症状が出たら、様子をみるのも場合によってはあるのかもしれませんが、なるべく早く、動物病院に連れて行ってあげるのが愛犬のためです。